土木技術者の小冊子

土木工事に関するやさしい解説をしています

朝倉未来「強者の流儀」を読んで

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本書を読んで感じるのは、著者は自分の研究対象である総合格闘技の対戦相手、YouTube視聴者、投資の対象を分析しています。この場合、分析とは自分の見えていない視点で見ること。

例えば、対戦相手のビデオを見るときは撮影カメラの視点ではなく、対戦相手としての視点。YouTube撮影でもカメラ目線でみるのではなく、撮影される側の視点。その視点から見た予想される未来を描き、想定外を見つけた上でそれをぶつけている。

言い換えると、相手が行う行動の前提条件を導き出し、「当然そうなるだろう」というその前提条件を覆す新たな条件(場)を作り出して、自分のペースにしている。だから試合において相手はカウンターやテイクダウンをもらい、YouTubeではドッキリにはまり、視聴者はギャップに伴う驚きや笑いにつながっていると感じる。

また、運動テクニックの習得で、自分の動きを録画することを勧めていました。自分の頭の中にある動きと、現実の動きには違いがあるからです。その違いがなくなるほど、運動能力は向上します。

言われてみれば当たり前ですけれども、自分の頭の中の世界と現実は違いますね。前述の著者の分析の考え方も、自分の動きを撮影する中で習得したのかもしれません。そういえば、元陸上10種目優勝の武井壮も「自分の動きの撮影」を勧めていました。

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感想

情報には、生産・流通(伝達)・消費の過程があります。メディアは流通(伝達)、私達は消費が主です。

本書の「情報生産者になる」とは「研究」結果を発信すること。それは自ら問いを立て、仮説を練り、根拠を集め、論理的に並び変えることで、今までになかった新しい答え(結論)を導き出すことです。

本書はそのための具体的な方法論が述べられています。ポイントは、問いを立てること。研究分野の空白地帯に問いを立てても、大きすぎれば費用も時間も相当にかかります。逆に簡単すぎては、研究する意味を問われます。

適切な距離感が重要とのことでした。



本書からの引用

 

 研究とは相手を説得するプロセス

研究とは、誰も解いたことのない問いを立て、証拠を集め、論理を組み立てて、答えを示し、相手を説得するプロセスを指します。そのためには、既にある情報だけに頼っていては十分ではなく、自らが新しい情報の生産者にならなければなりません。 

 

 流通の視点から見た情報

情報には、生産・流通(伝達)・消費の過程があります。メディアは情報伝達の媒体等で、多くの人達はそこから得られた情報を消費します。 他人の生産した情報を適切に消費することは、自らが情報生産者になるための前提です。

No.8 技術士二次 施工計画R3 Ⅱ―1-4 高流動コンクリート(③施工上の留意点)

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問題文

高流動コンクリートの特徴を説明せよ。また、高流動コンクリートを採用する目的と施工上の留意点をそれぞれ説明せよ。

 

今回の対象

問題文の下線部である「③高流動コンクリートの施工上の留意点」が、今回の対象です。

 

解答の考え方

文字数の割振りは、No.6に記載のとおり200文字です。

出典は「コンクリート標準示方書」施工編:特殊コンクリートです。
特徴・目的・留意点を求める問題は、できるだけ数多く答えることが得点に結びつきます。項目ごとの文章を短くし、項目数を増やすようにしましょう。

 

解答案

施工上の留意点は、以下の通り。①打設高さは、5m以下とする。②流動性が高いため、型枠に作用する側圧が高くなる。③単位水量が少ないことによりブリージングが少ないため、打設後の表面が乾燥しやすい。④所要の品質を保持できる時間内に打ち込みを完了させる。⑤水平移動距離は平面的な場所で8m以下、小断面で片押しの場合は15m以下とする。⑥コンクリートポンプの径を大きくし、吐出圧の大きな機種を選定する。(192文字)

No.7 R3 Ⅱ―1-4 高流動コンクリート(②目的)

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(問題文)

高流動コンクリートの特徴を説明せよ。また、高流動コンクリートを採用する目的と施工上の留意点をそれぞれ説明せよ。

 

(今回の対象)

問題文の下線部である「②高流動コンクリートを採用する目的」が、今回の対象です。

 

(解答の考え方)

文字数の割振りは、No.6に記載のとおり200文字です。

特徴と目的は、論文構成のやり方によって重複する場合があります。減点とならないように対策をして下さい。

対応策は、「特徴」は建設材料としての性質に着目し、「採用の目的」は用途や施工環境に着目します。

 

(解答案)

高流動コンクリートを採用する目的は以下の通り。①過密な鉄筋がある床版や橋梁補修箇所等にコンクリートを充填させること、②複雑な形状の構造物を施工すること、③廃棄物施設や地下構造物などを高い水密性で施工すること、④騒音対策が必要な現場でバイブレーター等の使用が困難な時の対策、⑤閉鎖空間で作業員が中に入れない現場でコンクリートを充填させること、⑥省力化や少人化を求められること等を目的とする。(194文字)

 

(解答案作成の感想)

思ったよりも既定の文字数(200文字)を埋めるのに苦労しました。項目だけを羅列すると半分程度になるからです。そのため、具体的な用途を書くようにして、文章を膨らませました。

また、採点者に何を書いているか分かるように、文章の冒頭で設問箇所を入れました(「高流動コンクリートを採用する目的は・・」)。

No.6 技術士試験論文作成の考え方 施工計画Ⅱ―1-4 高流動コンクリート(①特徴)

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(問題文)

高流動コンクリートの特徴を説明せよ。また、高流動コンクリートを採用する目的と施工上の留意点をそれぞれ説明せよ。

 

(今回の対象)

問題文の下線部である「高流動コンクリートの①特徴」が、今回の対象です。

 

(解答の考え方)

今回の参考資料は、コンクリート標準示方書(2017年制定)「高流動コンクリート」です。

設問は、①特徴、②採用の目的、③施工上の留意点、の3点です。600字詰め原稿1枚が指定されていますので、各項目200文字ずつで割り振ります。

論文構成上の留意点は、特徴と採用の目的が重複しやすいことです。重複して記述する箇所は、項目だけにしてサラッと記述するようにしましょう。同じ記述であれば、減点の対象となります。
そのため対策として、論文構成時に特徴と目的の役割分担を明確にします。具体的には、「特徴」は建設材料としての性質に着目し、「採用の目的」は用途や施工環境に着目します。

 

(解答案)

高流動コンクリートの特徴は、フレッシュコンクリートの材料分離抵抗性を損なうことなく流動性を高めたコンクリートで、流動性がスランプフローで管理されるコンクリートである。高流動コンクリートは、高性能AE減水材等を使用する。これにより、流動性を高め、自己充填性を付与し、減水効果による材料分離抵抗性や硬化後の水密性が発揮される。また、使用水量がすくないことから、ブリージングやレイタンスは発生しにくい。(197文字)

技術士試験論文作成の考え方(No.5)施工計画Ⅱ―1-3 「足場の倒壊防止」について

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(問題文)

建設工事において使用される足場(つり足場を除く)の倒壊を防止するため、施工計画及び工事現場管理それぞれにおいて留意すべき事項を説明せよ。

 

(解答の考え方)

選択科目Ⅱの問題は、全く知らなければ解答することができない。だからこそ皆さんは過去の出題から、頻出キーワードをリストアップして準備をされていると思います。

Ⅱ-1-3の足場の問題は、どちらかというと建築系の技術者が得意とする内容です。発注者やコンサルタントなど、実際に施工の経験がなければぶっつけ本番の解答は難しいと思います。

そうはいってもこの手の問題を解かざるを得ない時はどうするか、という点で考えていきたいと思います。

解答を作成するにあたって、足場の倒壊防止の留意事項だけをリストアップしても、600詰め原稿用紙を埋めることは難しいです。問題文では、「留意すべき事項を説明せよ」とあります。ですから、原因→課題抽出→対応策、の構成により説明文を組み立てます。

 

(解答案)

建設工事における足場の倒壊の主な原因は、強風、地震、緩い足場の地盤、壁つなぎ等の不足、足場補強材の不足、部材間の固定が不十分、日常点検の不足等、がある。施工計画では、現地の条件に応じた足場倒壊防止の対策を記載する。工事現場管理では、施工の推移に合わせた柔軟な対応で施工計画に記載された対応策を実行する。(施工計画の留意事項)①現場を事前調査し、現場条件に応じた計画を立てること。②現場に応じた足場施工図を作成する。現場合わせの施工では不具合箇所が発生しやすく、施工効率が低下するため。③足場施工図に壁つなぎや控えを明示し、壁つなぎの設置忘れを防ぐ。④壁つなぎや控えの間隔や寸法は、労働安全衛生規則に基づき、施工性を考慮して決定する。⑤足場作業主任者の選定、業務内容や点検内容を詳しく記載する。責任者や業務内容を明確にすることにより、施工漏れを防止する。(現場管理の留意事項)①施工計画で想定した施工条件、地盤条件なのか、最初に確認する。②施工計画で想定した条件と相違があれば、直ちに修正する。③天気予報を確認し、強風が予測される場合は、養生シートを巻いて、風の通り道を確保する。④地震や台風等の後、足場を点検する。部材の固定が緩んでないか、壁つなぎが固定されているか、確認する。⑤施工計画書の足場施工図どおりの施工か確認する。⑥足場工の地盤が降雨等で緩んでいないか定期的に点検する。(591文字)

 

(解答案の解説)

  1. 足場に関しては「転落防止」が一般的で、そちらに引っ張られます。しかし今回は、「倒壊防止」が出題されたので、守りの答案としました。
  2. 他の選択肢で書けるものがなく、ぶっつけ本番で解答をしなければならなくなった場合を想定して作成しました。
  3. そのため、詳しい数字を使わず、専門用語もあまり使わないようにして作成しました。
  4. 今回の答案では高得点とはなりませんが、合格点(60%)は超えていると思います。
  5. 試験本番ではヤマが全て当たるわけではありません。ヤマが当たればホームラン解答をねらい、ヤマが外れたら守りの解答に徹します。
  6. 課題の600文字をクリアーするため、解答案の前段で倒壊の原因を書きました。後につながる内容なので減点対象とはなりませんが、加点ともなりません。600文字より大幅に文字数が少なければ減点となるため、書き加えました。
  7. 加点対象は「留意事項」です。解答案の後半部分がそれに該当します。留意事項を厚く書けるのであれば、前段の原因は書かなくてもよいでしょう。

技術士試験論文作成の考え方(No.4)施工計画Ⅱ-1-2「建設キャリアアップシステムのメリット」について

 

建設部門「施工計画、施工設備及び積算」の選択科目Ⅱの解答について検討しています。

今回はⅡ-1-2です。
この問題は、建設キャリアアップシステムをキーワードとして覚えていれば、比較的容易に回答できます。事前にヤマを張って試験に臨まれていると思いますが、建設キャリアアップシステムはビッグワードです。今後何らかの形で出題される可能性は大いにあります。ぜひ押さえておいて下さい。

「考え方」の構成は、
「過去問 → 文字の割振り → 今回の設問 → 解答案の出典 → 解答案」です。

 

1.過去問

R3試験問題 施工計画 Ⅱ-1-2

「建設キャリアアップシステム」について、導入の目的とシステムの概要を説明せよ。また、技能者と事業者の各々にとってのメリットを説明せよ。

 

2.文字の割振り

解答は原稿用紙1枚、600文字で行います。

最初に割振りです。大きく2つ出題されているため、①「導入の目的と概要」に300文字、②「メリットの説明」に300文字を割り振ります。

 

3.今回の設問

今回は②「メリットの説明」を考えていきます。

 

「建設キャリアアップシステム」について、技能者と事業者の各々にとってのメリットを説明せよ。

 

4.解答案の出典

国交省のホームページで建設キャリアアップシステムを検索すると、下記の文章が示されます。
(ホーム>政策・仕事>土地・不動産・建設業>建設産業・不動産業>建設キャリアアップシステム)

制度を制定した側の文章です。とてもよくまとめられています。

 

下線部が、回答に該当する部分です。参考にしてください。

 

2.建設キャリアアップシステムの概要

    ○システム利用によるメリット

 現場経験や保有資格が業界統一のルールでシステムに蓄積されることから、十分な経験を積み、技能の向上に努める技能者が適正に評価されそれを通じて処遇の改善につながる環境を整えていきます。
 また、建設業退職金共済制度における証紙の貼付状況が確実かつ容易になるとともに、技能者・事業者がそれぞれ就業実績や資格取得などの状況を確認することを通して、更なる技能の研鑽や資格の取得につなげていくことが可能になります。
 さらに、建設業を一旦離れ再入職する際に、離職以前に習得した資格・研修や現場経験を客観的に証明できるといった活用が期待されます。
 技能者を雇用する専門工事業は、雇用する技能者の水準を客観的に把握できるとともに、その施工力をアピールすることが可能となります。人材の育成に努め、優秀な技能者を抱える専門工事業者は、これを発注者や元請企業にアピールすることにより、受注機会の拡大につなげていくことが期待できます。
 現場を管理する元請企業は、システムを活用し、社会保険加入状況の確認など、現場管理の効率化、現場のコンプライアンスやトレーサビリティの確保を図ることが期待できます。また、優秀な人材を抱える専門工事業者の選定に活用できるほか、顧客に対して施行に携わる技能者のスキルをアピールするといった活用も可能となります。既に独自の就労履歴システムを運用している事業者においては、建設キャリアアップシステムとの連携により、システムの拡充や合理化を図ることも可能です

 

 

5.解答案

建設キャリアアップシステムの技能者のメリットは、①十分な経験を積んだ技能者が適正に評価され、②処遇の改善につながる、③建設業退職金共済制度における証紙の貼付状況が確実かつ容易になる、④再入職する際に、離職以前に習得した資格・研修や現場経験を客観的に証明できる。
事業者のメリットは、①雇用する技能者の水準を客観的に把握できる、②これを発注者や元請企業にアピールすることにより、受注機会の拡大につなげていく。③優秀な人材を抱える専門工事業者の選定に活用できる、④顧客に対して施行に携わる技能者のスキルをアピールする。⑤特に元請け企業は、現場管理の効率化、現場のコンプライアンス等の確保が期待される。(297文字)